コンサル全般

外資系コンサルタントに新卒で入社するメリット・デメリット

外資系コンサルタントは、大学生にとっても、社会人にとっても、人気のある職業です。

大学生で就職活動をしていたら、一度は気になって会社案内などを見てみた経験もあると思います。

また、外資系コンサルタントは、入社後のキャリアも華やかなイメージがあります。
反対に、激務で体を壊してしまうのでは…という不安もあると思います。

そこで大学生から新卒で外資系コンサルティングファームに入社した場合のメリット、デメリットを紹介します。

メリット
  • ビジネスの基礎力が身につく
  • 専門性が身につく
  • 多くの社外の人と接する
  • 高年収
  • 同僚が優秀
デメリット
  • 社会人としてのスキル(名刺交換、幹事業など)がつきにくい
  • 長時間労働、激務
  • 事業会社の雰囲気を理解できない
  • 向いていない場合、選択肢がない(社内異動できない)

外資系コンサルタントに新卒で入社するメリット

外資系のコンサルタントに新卒で入社するメリットは大きく5つあります。

  • ビジネスをやる上での基礎(論理的思考、資料作成、プレゼン)が身につく
  • 業界または、機能の専門性が身につく
  • 社外の人と接する機会が多い
  • 事業会社の新入社員と比べ、高い年収が得られる
  • 周囲に優秀な人が多い

詳しく見ていきましょう。

ビジネスをやる上での基礎が身につく

ビジネスをしていく上で、必須ともいえる能力があります。
それが、論理的に考えることができ、自分の考えを資料に表現することができ、相手に伝え、理解させる能力です。
どんなビジネスであれ、この能力がついていれば、どこでもやっていける人材になるでしょう。
外資系コンサルタントを経験すれば、どこでもやっていけると言われる理由でもあります。
新入社員で外資系コンサルになれれば、社会人として非常に早い段階から、このスキルと得ることができます。

ロジカルシンキング

論理的に物事をとらえ、思考するスキルのことを、論理的思考(ロジカルシンキング)と言います。

  • なぜ~なのか。(Why so ?)
  • なぜならば~だからである。(So What ?)

といった基本的な考え方から、ある事象を「もれなく、だぶりなく」切り分けて論理を展開する能力も身につきます。
これはいわゆるMECE(ミーシー、ミッシー)という考え方で、この考え方ができるようになると議論の余地を残すことなく、相手に説明できるようになるので、非常に説得力の高い資料を作ることができます。
MECEもロジカルシンキングがベースになっています。

論理的思考力を鍛えるならこの本がおすすめ!
ロジカル・シンキング

資料作成(スライドライティング)

スライドライティングは、自分の頭で考えた結果を、表現するスキルです。
このスキルは、コンサルタントにとって、非常に重要なスキルです。
いくら頭の中で考えたことがクライアントにとって有益であっても、それを表現する方法を知らないことには、何も価値を生み出しません。
コンサルタントの資料作成には、しっかりと確立された「お作法」があり、それに沿ってパワーポイントを作成することで、非常に高付加価値なパワーポイント(資料)を作ることができます。
また、このスキルはコンサルタントの次のキャリアでも非常に重宝されるため、社会人で早く身に付けておくと良いです。
資料作成のスキルは、事業会社では習得することは難しく、コンサルタントを経験する一つの大きな理由になるでしょう。

資料作成を鍛えるならこの本がおすすめ!
PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則

プレゼンテーション

表現した内容を相手に伝えるスキルです。
コンサルタントの仕事では、クライアントの要望や課題を解決するための方法や検討事項を洗い出し、それに独自の示唆を加えて、資料に表現することを主な仕事としています。
週に2日~3日は、クライアントと打合せ(プレゼン)の機会があるため、パワーポイントを投影しながら、クライアントに内容をプレゼンします。
なかなか事業会社では、営業にでもならない限り、社外の人で自分が作った資料をプレゼンする機会はありません。
それを社会人の早い段階から、多く経験できるのは、非常に大きなメリットです。

プレゼンテーションを鍛えるならこの本がおすすめ!
ロジカル・プレゼンテーション

専門性が身につく

コンサルタントは、その名の通り、クライアントにとっての相談役です。
様々な悩みがありますが、やはり、悩んでいることに対してある程度の専門的な知識を持った人に相談したいと思うでしょう。
そのため、コンサルタントは、特定に領域の専門性を持つことが求められます。
「何でもできます」は「何もできない」と同義です。

専門性というのは、大きく2つあります。

  • 業界に特化する
  • 機能に特化する

特に総合系のコンサルティングファームでは、組織を「業界別」と「機能別」に分けています。
クライアントの業態によって、担当する組織を分けています。
製造業の業界に関して専門性を高めたいのか、小売業の業界に関して専門性を高めたいのかによって、自分の所属する組織も変わるわけです。

もう1つは機能です。
機能とは、戦略、会計、人事、SCM、テクノロジーなどのことを指し、企業にとって共通した役割のことです。
企業の戦略(グローバル戦略、事業戦略、商品戦略など)の立案に関して専門性を高めたいのか、サプライチェーンの生産性向上に関して専門性を高めたいkのかによって、こちらも組織が変わります。

こういった専門性が早く身につくことで、「とがったキャリア」を早期に形成することができます。

コンサルティング業界の業界研究ならこの本がおすすめ!
この1冊ですべてわかる コンサルティングの基本

社外の人と接する機会が多い

これはあまり気付くことができないメリットです。
事業会社(特に大企業)にいると、部署によっては、会社の社内の人としかコミュニケーションをしない人たちが非常に多いです。
そういった人たちは、自分たちの部署がどうすれば一番楽に仕事ができるかという観点でコミュニケーションをします。
そのため、打合せなどをしても非常に効率が悪く、論点がかみ合いません。
そして、こういった人たちは、市場での価値がどんどん低くなり、この会社の、この部署でしか生きられなくなります。

それに比べ、コンサルタントは常にクライアントの視線にさらされています。
支払っている金額に見合った働きをしてくれるのかのいうプレッシャーを常に受けることになります。
そうすることで、コンサルタントは、クライアントにとって、何か一番の価値なのかを考えて行動します。
真の意味での「クライアントファースト」を意識して、仕事をするので、思考も洗練され、スキルも向上します。
その結果、一個人としての市場価値も非常に高くなります。

同年代と比べて高い年収が得られる

事業会社に新卒で入社した同年代と比べると、100万円~150万円ぐらいは年収が高いです。
大学を卒業して、社会人になりたての頃は、金銭的な余裕もないため、給料が高いことは精神的にも余裕を与えてくれます。
また、自分のスキルを向上させるための自己投資に使えるお金も多いので、早期にスキルアップできるチャンスがあるとも言えるでしょう。

【実体験】20代で年収1000万超え!?外資コンサルの年収を暴露します高給取りと言われている外資コンサルが、いったいいくらの年収をもらっているのか気になっている方も多いのではないでしょうか。 そこで今...

優秀な人たちと知り合うことができる

「人間は、いつも周りにいる5人の平均をとったような人になるものだ」とアメリカの有名な起業家(ジム・ローン)も言っています。
自分の考え方やスキルは、自分の周囲の人間の能力で決まってくるということです。
周りに優秀な人がいれば、その人の発言や行動を間近で見ることになるので、多くのことを学ぶことができます。
外資系のコンサルティングファームは、新卒で入社した人も、中途で入社した人も、非常に優秀な人が多いです。
そういった人たちの中で、社会人としてのキャリアをスタートできるのは、大きなメリットだと言えます。

外資系コンサルタントに新卒で入社するデメリット

これまでメリットを多く語ってきましたが、デメリットもあります。
少し時代錯誤と思われる部分もあるかと思いますが、私の考えるデメリットを書きました。

  • 社会人としてのスキルがつきにくい
  • 長時間労働、激務
  • 事業会社独特の”落としどころ”が理解できない
  • コンサルに向いていない場合は、逃げ場所がない

詳しく見ていきましょう。

社会人としてのスキルがつきにくい

ここで言う社会人とは、これは、日本の企業(特に大企業)で働いているサラリーマンであると定義しましょう。
毎年、新卒採用を数十人~数百人の規模で採用している会社だと想定してください。
そうすると、学校のように年齢も、人数も順序良くならんでおり、22歳の若手から定年退職後に再雇用された60歳以上のベテランまでいます。
そういった会社で求められるスキルだと考えてください。
このような日本の企業に新卒で入社した場合には、自然と身に付きますが、コンサルティングファームではあまり重要視されず、身につきません。
コンサルタントのキャリアとしては、どこかで事業会社に転職するタイミングが来るため、ここで紹介するようなスキル(処世術のようなもの)も必要になる場面が来るでしょう。

社会人になって最初の立ち振る舞いを知るならこの本がおすすめ!
入社1年目の教科書

名刺交換

社会人として当たり前のスキルですが、コンサルティングファームに新卒で入社すると、特に交換のお作法も学ばずに現場に出されます。

  • クライアントの名刺より、下から出す。
  • 一番偉い役職の方の名刺は、名刺入れを座布団にして置く。
  • 打合せが終わり、クライアントが名刺を片付けた後に、自分の名刺を片付ける。

などの行動ができていない新入社員や若手を多く見かけます。
コンサルタントとしての必須の能力ではありませんが、事業会社では、こういった作法ができているかを見ているクライアントもいることを覚えておいて損はないでしょう。

電話の取り次ぎ

最近は、各個人に1台ずつ携帯電話やスマートフォンが貸与されているため、電話を取り次ぐという場面自体が少なくなってきました。
しかし、コンサルタントはクライアントのオフィスに常駐して、業務をすることも多いです。
電話の設備があたらしくないクライアントのオフィスでは、デスクに固定電話が設置されているケースもあります。
その固定電話に電話がかかってきたときに、我々が雇われている部署の人間として電話に出ることができるか、そして、要件を聞き、適切な担当者へ電話を取り次ぐことができるか。
しょうもない事に思えるかもしれませんが、クライアントから見ると、このしょうもない電話の取り次ぎもできないコンサルタントに、高い費用を払おうとは思いません。

社内調整

事業会社にいると、社内の部署とやりとりをすることが多くあります。
営業の立場であれば、提供する商品やサービスの納期の調整であったり、価格の調整であったり、社内の部署にお願いをすることがあります。
これをよく社内調整と呼んでいます。
この社内調整にも、コツがあって、常に相手にとってもメリット(お土産)を考えて、コミュニケーションをとる必要があります。
また、調整事項の内容が難しく、一担当者では判断ができない内容のときは、相手の部署の責任者と話をすることになります。
その場合は、こちらの部署の相応の立場の責任者を連れて、話をしに行く必要があります。
これには、相手の立場を尊重し、こちらも責任者を連れて、本気で調整したいと思っていますという意思表示になります。
非常に、非常にめんどくさいシステムです。
しかし、これをしないと社内は動かないという現実を受け入れて、湧き上がる怒りを抑え込んで、このしきたりに従うしかありません。

これが、なぜコンサルタントで必要かを説明します。
コンサルタントの仕事は、クライアントの課題解決の方法を提示するだけでなく、実際にその方法を実施するところまで支援します。
既存のルールを変えたり、業務プロセスを変えたりすることまで含まれます。
そのため、我々を雇っている部署の人間として、クライアントの社内調整をする必要があります。
しかも、外資系コンサルティングファームに仕事を依頼できるのは、日本の大企業です。
その日本の大企業の、社内を調整するのは、上に書いたような勘どころを押さえていないと到底、調整することはできません。
コンサルティングファームでしか経験がないと、こういった調整ごとは非常に難しく感じるでしょう。

イベント行事、飲み会の幹事

社内イベントや飲み会、クライアントとの接待などの幹事業をするときに、何をどうしたら良いのか分からない人が多いです。
事業会社にいると、こういった幹事は、その部署や、グループで最も若手の仕事になります。
そのため、店選び、二次会会場の手配、費用の回収方法、費用の傾斜のつけ方など、様々なことを学びます。
飲み会の度に、おじさんたちから幹事業に対するフィードバックを受けます。
社会人2、3年目には、新入社員の幹事業を指導する立場になります。

コンサルティングファームでは、あまり飲み会も形式ばったものはなく、フランクな感じで行われます。
しかし、クライアントとの接待となれば、話は別です。
クライアントは日本の大企業が多いので、この幹事業の修行をしてきた人たちが相手ですので、その人たちに満足してもらえるような対応をする必要があります。
この幹事業は、幹事業の研修はないので、実地で身に付けるしかありません。
コンサルティングファームに新卒で入社した場合は、日本の大企業を経験した人と知り合って、その人の幹事力を見ながら学ぶしか方法はありません。

長時間労働、激務

コンサルタントの業務は、どこまでも質を求めることができるので終わりがありません。
でも、どこかで終わりを見つけないと永遠に仕事をすることになります。
その終わりは基本的には、プロジェクトを仕切っている責任者が、アウトプットにOKを出せば、一旦そのタスクが完了します。
新入社員の場合は、その責任者からOKをもらうまで、品質を高めるのに非常に時間がかかります。
そのため、定時が決まっている事業会社に比べて、労働時間が長くなる傾向にあります。
プロジェクトの責任者から「終わり」と言われないと、帰らせてもらえません。

【外資コンサルが語る】外資コンサルは本当に激務か?!就活生や転職を考えている方からも、いまだに人気あるのが外資系のコンサルティングファームですね。 私は運良く外資系コンサルティングフ...
残業100時間超えは当たり前!?外資コンサルのスケジュールを大公開先日、コンサルタントの激務の実態について書きました。 では今度は、コンサルタントがどのような1日を過ごしているのかを暴露しちゃいま...

事業会社独特の”落としどころ”が理解できない

新入社員でコンサルタントになった人が必ず陥るところだと思います。
自分が完璧に考えたつくった解決策が、全くクライアントに刺さらないという事態が起こります。
その原因は2つあると考えています。

  • 理想だけの解決策になっており、現実味がない
  • 事業会社の社員のモチベーションを理解していない

理想を掲げて、机上の空論を提示してしまう

クライアントにとって、これを実施することが最善の策だ!と必死に考えて、睡眠時間も削って、最新の事例なども調べて、資料を作ったとしても、全くクライアントに刺さらない(意図に合っていない)ことが良くあります。
これは、本当にクライアントの立場に立って、考えられていないからです。
クライアント側には、その課題の解決に充てられる人材もお金も限られています。
そういった現実的な要素を加味せずに、綺麗な資料を作ったところで、自己満足は高いが、クライアントからの評価は低いものになってしまいます。
実際に実行できない解決策を考えて、持って行っても、それはクライアントにとっては無価値なものになるわけです。

事業会社の社員のモチベーションとコンサルタントのモチベーションは違う

もう一つは、事業会社の社員の、仕事に対するモチベーションが理解できずに、クライアントの意図に反した提案をしてしまうことがあります。
良い悪いは別にして、事業会社の社員は、特に成果を上げなくても、固定の給料をもらうことができます。
中には、責任者になるのが嫌で、ずっと管理職の1つしたのポジションで、役職が上がらないように仕事をしている人もいます。
必ずこの時期までに、この成果を上げなくてはクビになる!といったこともないので、かなりゆったり仕事をしている人も多いです。
我々を雇っている部署の人も、その人たちに代わって調整しに行く部署の人も、ほとんどがそういうモチベーションで仕事をしています。
「御社にはこんなに重大な課題があります。だから、一刻も早くこれらの解決策を実施した方が良いです!」と言ったところで「ふーん」となるだけなんですよね。
おそらく、最初は理解できないと思います。
この人たちは一体何をしているんだ?と疑問に思い、現実を受け入れるのに時間もかかるでしょう。
実際に、日本の大企業で働いている人たちは、こういった人たちが多いです。
本当に解決策を実施してもらうためには、課題がうんぬんではなく、「経営会議でこの施策を実施することが決まっており、〇〇部長にもご説明し、承認を頂いております」的なコミュニケーションが必要になってきます。
上で書いた社内調整の方法と似てきます。
このモチベーションの違いを理解しないと、コンサルタントとして解決策の実施まで持って行くのは厳しいでしょう。

コンサルに向いていない場合は、逃げ場所がない

基本的に会社に入ってからでないと、自分がその仕事に合っているかどうかなんて分かりません。
コンサルタントもそうです。
コンサルタントは、社内からも、社外からも常にプレッシャーがあり、ストレスの多い職種です。
入社当初から、長時間労働や、高いコミュニケーション能力も求められます。
そのため、一定の割合で合わずに辞めていく人もいるのが現実です。
コンサルティングファームは、基本的にコンサルタント職しかないので、社内のどこに異動してもコンサルタントになってしまいます。
そのため、コンサルタントが向いていなかった場合は、もう会社を辞める以外の選択肢がありません。

事業会社では、営業に向いていなかった場合は、直接お客さんとは接しない営業支援の職種だったり、営業部全体の戦略を考える企画系の職種だったり、はたまたサービスを開発する側の職種だったりと、同じ会社で多くの職種があるため、会社を辞めなくても社内異動で助かる可能性があります。

新卒で入社しなくても、中途でもチャンスが多い

外資系コンサルティングファームに新卒で入社するメリット、デメリットを紹介してきました。
簡単にメリット、デメリットをまとめておきます。

  • メリット:高収入で、市場価値が高いスキルが早く身につく
  • デメリット:長時間労働で、机上の空論を提示してしまう傾向にある

また、私個人としては、外資系コンサルティングファームには、中途採用で入社することをおすすめしています。
コンサルタントとしての専門性ではなく、事業会社独自の専門性を身に付けてからコンサルタントになった方が、より説得力が増します。
入社する難易度も、新卒採用よりはハードルが下がります。
事業会社で、3年~5年の経験を経て、コンサルタントに転職するのが、一番最適な時期かなと感じています。
30歳未満であれば、コンサルタントが未経験でも、事業会社での実績をアピールすることで入社することができますし、コンサルタントとしての頭の使い方に慣れるのも早いです。
中途採用については、以下の記事を参考にしてみてください。

【結論言います】外資コンサルになるには新卒採用か中途採用のどちらが良いのか?絶対に中途採用です。 いきなり結論から言ってます。 外資コンサルを経験してみたい方は多いと思うのですが、外資コンサルになれる...

以上です。
長文となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。