コンサルへの転職

【要注意】SIerから外資コンサルへ転職した人が抜け出せないベンダー思考

コンサルティングファームの中にいる立場からすると、同僚の退職や、新しく入社してくる人がいるのをよく見かけます。
その中でも最近多いのが「SIer」からの転職組が多いです。

SIerからの転職組が、「コンサルタント」になりきれずに苦労しているところを見かけるので、その原因と対策を解説します。

  • SIerとコンサルタントの役割を理解していない人が多い
  • コンサルタントの頭の使い方にシフトできていない
  • クライアントの言うことを聞くのがSIer(ベンダー)
  • クライアントを導くのがコンサルタント

SIerって何?という人は、下の参考情報を読んでみてください。

SIとはシステムインテグレーションの略称で、システムを構築する際に、システムの利用者の業務の状況や、課題を把握、解決するようなシステムの企画から構築、運用までの請け負うことです。
それらの業務を提供する企業をSIerと呼びます。

それでは、詳しく解説を始めていきます。

SIerとコンサルタントの役割

SIerからコンサルタントになり切れていない人の中には、SIerとコンサルタントの役割を理解していない人が多いです。

転職直後は、SIerとして働いてきた経験が身に染み付いていますので、いきなりコンサルタントの働き方をすることは難しいと思います。

しかし、SIerとコンサルタントの役割の違いを理解していないと、変化しようにもできません。
ここでつまづいている人も結構いるので、解説します。

家を建てるときを例に役割の違いを説明します。

  • コンサルタントは「どんな家をたてるか」をクライアントと決めていく人
  • SIerは「家の設計と建築」をする人

コンサルタントの役割

コンサルタントの役割は、家を建てるときに、どんな家をどこに建てるかについて、クライアントに”提案”します。

  • マンションなのか、一軒家なのか。
  • 木造なのか、鉄筋コンクリートなのか。
  • 国内なのか、海外なのか。
  • 大きいものか、小さいものか。

こういった観点で、クライアントの業務状況や今後の経営戦略に沿って、メリット、デメリットを示しながら、その時に最適な「家」を提示し、クライアントを導いていきます。

SIerの役割

SIerの役割は、「東京都に木造の50㎡の一軒家」を建てるために必要な事項を洗い出して、クライアントに提示します。
つまり、コンサルタントがクライアントと合意した方針に従って、家を建てることが役割になります。

SIerはクライアントから方針(希望)を伝えられて、その希望を実現するために業務をします。
つまり、クライアントからの要望を叶えることが最優先事項になります。

どんな家を建てるかよりも、上流工程である、「そもそも家を建てるかどうか」を決めるのは、戦略系のコンサルタントの役割になります。
戦略系や総合系などのコンサルタントの違いについては、以下の記事で解説しています。

外資系コンサルタントの仕事内容とは?戦略系、総合系、IT系に分けて解説外資系コンサルタントと言っても、一体どんな仕事、業務をしているのかが、ぱっと分からないことも多いです。 基本的には、コンサルタント...

コンサルタントの頭の使い方へシフトすることが大事

上では、SIerとコンサルタントの役割の違いについて解説しました。
役割が違えば、クライアントへの働きかけ方や、頭の使い方も違ってきます。

コンサルタントにとって必要なのは、こちら側が案を複数提示し、メリット・デメリットを比較し、クライアントにとって最も最適な道筋を提示することです。
もちろん、最終決定権はクライアントにあるので、そこまでの判断材料をかき集めてきて、判断できる状態まで持って行くことが必要です。

そのためには、以下のようなスキルが必要です。

  • クライアントの経営方針の理解
  • 現状分析、問題解決方法の提案
  • ロジカルシンキング
  • 課題解決能力
  • ドキュメント(パワーポイント、ワード、エクセルなど)作成能力

このような役割は、SIerでは求められていません。
なので、SIer出身の人はいきなりコンサルタントになれと言われても、できないのです。

課題を整理して、解決策を複数提示して、期限、予算、リソース(人員)などの観点から優先順位を付けて…みたいなことを頭で考えます。
そして、それを相手に伝わるように紙(パワーポイント)に書きます。
さらに、その紙を用いて、クライアントに説明し、理解させる必要があります。

このような役割の変化から、頭の使い方を変化させる必要性を理解できないまま、ずっとベンダー思考のままで苦しんでいる人が多いです。

コンサルタントの頭の使い方にシフトする方法

申し訳ないですが、特別な裏ワザはありません。
ただ、ひたすらに「コンサルタント」のもとで修業するしかありません。

優秀なコンサルタントというのは、上記で説明したロジカルシンキングや課題設定、解決策の提示、ドキュメント作成、プレゼンテーションなどのスキルを非常に高いレべルで身に付けています。

SIerから転職した人は、コンサルタントのスキルはあまり高くありません。
その代わりに、SIer出身の人は非常に高い専門知識を持っています。

その人たちがコンサルタントのスキルを身に付けることができれば、経営層とも現場ともコミュニケーションが取れる非常に価値の高いコンサルタントに生まれ変わることができます。

SIerからの転職組は、まず優秀なコンサルタントの下で、ひたすら修行することをおすすめします。
これは、残念ながら本を読んだり、普段の生活で身に付くものではありません。
自分が作った成果物を、優秀なコンサルタントから何百回とレビューを受ける中で身に付けていくものになります。

なので、コンサルタントの頭の使い方にシフトするのは、非常に難しいことです。
時間もかかります。
最低でも半年、1年は苦しむと思ってもらって差し支えないと思います。

私の場合は、法人営業からコンサルタントに転職しましたが、そのときの苦しみは体験談で書いていますので、良かったら読んでみてください。

SIerからコンサルタントになれる人、なれない人

内情リークなので、正直にお話すると、SIerから転職して、コンサルタントになりきれずに辞めていく人も多いです。
辞めなくても、あまり評価されないまま、苦しみながら働き続けている人もいます。

逆に、コンサルタントとして開花し、大活躍を始める人もします。
先ほども書きましたが、SIerがコンサルタントになれるとクライアントの経営層とも担当者層ともコミュニケーションが取れるので、非常に価値を出しやすくなります。
経営レベルの課題から、現場レベルの課題まで一貫して理解して、解決策を提示することができるので、クライアントからの社内からの重宝されます。

私が思うコンサルタントになれる人の特徴を3つ、挙げます。

  • もう一度ゼロベースから頭の中を構築できる人
  • 素直な人
  • 気合と根性がある人

え、これだけ?と思うかもしれませんが、これだけです。
特に、専門知識が必要とかではありません。

これまで自分がやってきた内容を、一度ゼロにして、新しくインストールするみたいなイメージを持てる人がコンサルタントとして開花します。
そして、そのインストール段階では、自分より若いコンサルタントに、自分の成果物をボコボコにされます。
「そんな細かいところまで指摘する!?」みたいなところまで指摘されます。
SIerには求められていませんでしたが、コンサルタントには、非常に細かい部分まで品質を求められるからです。

こういった状況を素直に受け入れられるマインドと、それに耐えることができる気合と根性を持ち合わせていれば、コンサルタントになることができます。

私が言うのもなんですが、本当にコンサルタントとして開花できる人は、ほんのわずかです。
私は開花したであろう一人です。
(転職して、1年目でプロジェクトで最高評価をもらうことができました。)

ここまで読んで頂いた方で、コンサルタントにチャレンジしてみようと思う人は、ぜひともチャレンジしてほしいと思います。
コンサルタントへの転職に関する方法も解説しているので、読んでみてください。

以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。